家族葬は割安か?
従来の一般葬の平均費用は150万円程度と言われる。今後、仮に5人の葬式の準備をしなければならないとすると、750万円以上もの費用が必要となる。老後資金が「公的年金以外に2000万円が必要」な時代だ。老後の蓄えに加え、さらに死後の費用を捻出するのは容易ではない。
葬儀社はそうした社会の葬送ニーズに合わせ、安価で簡素な葬式プランを打ち出す。ネットなどで調べれば価格表が出ており、遺族が葬儀業者を比較検討する時代になっている。
では、家族葬や直葬を選べば、本当にコストを抑えられるのだろうか。最近、雑誌の特集で家族葬や直葬が「割安」であるとの記事が目につく。しかし、そこに落とし穴がある。
結論から言うが、最も支出が多くなるのが「家族葬」であり、その次に「直葬」だ。支出をなるべく抑えようと思えば、従来の「一般葬」を選ぶべきだ。いったい、どういうことか。
家族葬、直葬、そして会葬者を集める形式の葬式(一般葬)のコストを試算してみたのでご紹介しよう。
【都内の葬儀会館で家族葬(親族のみ30人程度)をした場合】
祭壇、花、ドライアイス、枕飾り、棺、霊柩車、火葬場までのハイヤー代、霊安室代、遺体安置、葬儀会館利用料などで40万円〜80万円+寺院などへの布施30万円
●支出額70万円〜110万円
【都内で直葬をした場合】
一般的な直葬プラン+遺体安置代(2日間)+火葬場への僧侶派遣代
●支出額30万円〜50万円
【都内の寺院で会葬者150人程度を集めた一般葬をした場合】
祭壇、花、ドライアイス、枕飾り、棺、霊柩車、火葬場までのマイクロバス代、香典返しなどで計100万円〜130万円+寺院などへの布施30万円
支出額130万円〜160万円
香典収入 参列者1人平均8000円×150人=120万円(収入額)
●差し引き支出額10万円〜40万円