人口減や地域経済の衰退によって仏教が曲がり角に立たされている。檀家制度は崩壊の危機に瀕し、寺院の消滅や「墓じまい」の流れが止まらない。1500年の歴史を有する日本の仏教はどこへ向かうのか。僧侶でジャーナリストの鵜飼秀徳氏が仏教界に待ち構える未来を考える。4回目は、進境著しい生成AIのインパクトについて。
(*)本稿は『仏教の未来年表』(鵜飼秀徳著、PHP新書)の一部を抜粋・再編集したものです。
ChatGPTに「死別の苦しみ」の対処法を聞いてみた
先の見えない混沌とした状況、とらえどころない生きづらさ。こうした不安を癒してくれる場所が地域の神社仏閣や教会だ。同時に宗教者はいまこそ、その真価が問われているのだと思う。
不安の受け皿として人工知能(AI)の技術が、仏教に急激に接近しつつある。2022(令和4)年秋にサービスを提供し始めた「ChatGPT」の作文精度は驚くほど高く、仏教界でも話題になりつつある。
このChatGPT、私は直感的に「仏教の世界に少なからず影響を与えるだろう」と思う。なぜなら、そこいらの頼りない僧侶よりも、はるかにまともな回答をしてくれるからだ。
たとえば、こんな質問をしてみた。
質問「ブッダならば、愛する者と死別する苦しみをどう解決しますか」
ChatGPTの回答:
「ブッダは、人生における問いかけは避けられないものであると考え、その対処を克服するための方法を提唱しています。
- 無常の理解――ブッダは、すべてのものは無常であることを説き、死もまた無常のひとつであると教えています。愛する者が死を迎えたことは、人生の当然の流れであり、それを受け入れることが大切です。
- 自分自身の執着心を捨てること――死別の問題は、愛する者に対する執着が根本的に生じています。
- 慈悲と思いやりの心を育むこと――ブッダは、慈悲と思いやりの心を持つことが苦しみを軽減するための重要な要素であると説いています。共感の心を持つことで、自分自身の苦しみを軽減することができます。
- 瞑想をすること――瞑想をすることで、自分自身の内側から平静や安らぎを見つけることができます。力を与えてくれます。
- 仏教の教えを実践すること――仏教には、生きることの意義や、死に対する見方など、人生についての深い教えがあります。
以上のように、ブッダは、愛する者と死別する訴えについても、自分自身の内側から解決策を見つけることを提唱しています。自分自身の内側から平静や安らぎを見つけることが大切であることがわかります」
文章としては、やや不自然で味気ない部分があるにせよ、少し「味つけ」すれば、一般的な「法話」のレベルは満たすように思う。