「男の呪縛」からの解放

「男=稼いで一家を養うもの、家事育児をやる必要はない」という「オラオラ」な固定的性別役割意識に縛られていた彼が、一家の大黒柱の座を妻に明け渡した。

 アメリカで文字通り妻の稼ぎで暮らし始めて、「これでいいのだろうか」という葛藤や孤独感と闘いながらも、自分自身の「大黒柱バイアス」という鎧を少しずつ脱いでいった体験談を聞くにつけ、「女性活躍推進」というかけ声がやたらと喧伝される一方でジェンダーギャップ指数で見るといつまでも世界の中で立ち遅れたままという日本社会のありようについて考えさせられた。

 同僚の女性記者がシッター代に多額の給与を注ぎ込んでいる姿を見て、「なぜそんなにしてまで働くの?」と平然と言い放ち、「女性閣僚が何人誕生」というような話題にニュース価値をまったく見出せない。かつてそんなだった小西さんは、このたびの衆院選に際してこう言っていた。

「政治とカネの問題はもちろん、政治部時代にはまったく頭の片隅にもなかったジェンダー問題。これを投票の際に自分にとっての大切な争点にした」

 駐夫時代を経て、その体験をもとに大学院に進んでジェンダー問題について研究し、修士課程を修了して初めて臨んだ国政選挙。自身のキャリアシフトとともに、有権者としての政治の見え方も大きく様変わりしたという。

「昔は政局一辺倒だったが、今は政治記者目線、そして生活者目線の『2眼レフ』で見ている」