アベノミクスでも苦戦した「手取りを増やす」が響いた
アベノミクス下でも増大した国民負担率を引き下げる「手取りを増やす」という公約が、若者の心をとらえたこと。雇用も増え、給料も増えたが、税や社会保険料も増え、物価高が追い討ちをかける状況に苦しんでいたのだ。
安倍内閣当時の2015年度と比べても実質可処分所得はマイナスになっている。
私は安倍さんが総理の時に直接申し上げたことがある。「アベノミクスで国民所得が上がっても税や保険料の負担がそれ以上に上がったら、アベノミクスは失敗に終わりますよ」と。
「たまきチャンネル」はじめ玉木さんのSNSでの発信は、自民党ほどカネはかけていないが、理路整然として分かりやすく、効果が高かった。
労働組合が支持母体という「しがらみ」イメージを感じさせなかった。それが証拠に比例票は前回より358万票も増えた。
石破さんの農村部・高齢者向けの自民党先祖返りアピールとは逆に、都市部・若者・パート労働者向けアピールが際立った。
何よりも「実質可処分所得がマイナス」という問題の解決を目指して、15種類ある所得控除の中で給与所得者全員に適用される基礎控除の引き上げ等の具体策を示したことが大きい。
「働き控え」回避のため最低賃金の伸び率に合わせて年収の壁を178万円に引き上げる案は、主婦・扶養家族・学生で違いは出てくるものの、合理性と実現可能性がある。