小選挙区比例代表並立制の見直しを

松本:私は、やはり政治家は、公約を何かひとつでもいいから達成する意欲を持ってほしいと考えています。現在の投票率が半分ほどになってしまったのは「政治に期待してもムダだ」と有権者が感じているからだと思います。

 それと、小選挙区比例代表並立制も見直すべきです。小選挙区制を検討する際、死票が出ることと小政党が不利になることの懸念から比例代表制も同時に導入されました。

 ですが、結果としては「小選挙区で勝利した政党」が国会で過半数を獲得できず、連立を組むしかなくなり、小選挙区で落ちた候補者がなぜか「比例で復活する」という奇妙な現象が起きています。

 また、小選挙区比例代表並立制においては、小選挙区制の議席数が比例代表制よりも多いため、比例代表制のメリットである「(得票数と議席が一致し)民意が反映される」という目的も十分に達成できません。

 小選挙区制の「政権選択を容易にする」、比例代表制の「(死票をなくし)民意を反映しやすくする」という目的、その両者を融合させるという並立制は、結局双方の良いところを打ち消す形になってしまった感は否めません。

 小選挙区比例代表並立制という妥協の産物が、国民の選挙離れを加速させていると言わざるをえません。

「国民の1票」に対する緊張感を高める上でも、比例代表制はやめて、小選挙区1本にすることも考えるべきではないでしょうか。良し悪しは置いておいて、アメリカのような完全小選挙区制の国では、国民の投票行動への緊張感が異なります。

 2021年の衆院選の投票率は55.93%でした。今回も大きな変動はないと思われますが、せめて60%以上の投票率を維持できないと、日本の議会制民主主義に対する国民の納得感も、選出された政治家の正当性の根拠も生まれないと思います。