若づくりに精を出す中高年が増えすぎた

松本:90年代初頭までの中選挙区制時代と比較すると、今の中高年は年齢の割に若々しくなっていると思いませんか。若々しくなっているというのは、行動パターンや趣味嗜好、情報収集の傾向が、若者に近づいているという意味です。

 昭和や平成初期までの中高年は新聞を読むのが当たり前でしたし、大人としての威厳を感じさせる頑固者が多かったように思います。

 対して今の中高年は若い人と同じようにLINEでコミュニケーションをとり、アンチエイジングにも熱心です。新聞をはじめ、活字に触れる人も減った印象で、若者と似たようなライフスタイルを送っています。私個人の意見としては、やはりもっと年齢に応じて、地域社会や国家に対して自らの権利を行使し、責任を果たすべく、投票してほしいと思っています。年相応の生き方を示してほしいということですね。

 以下の図表を見てください。

松本氏作成、政治意識の変貌―「そのつど支持」から「選挙ばなれ」へ─より
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 さいたま市民の政治意識調査によると、「投票したいと思う候補者がいなかったから」という理由で投票しなかった50〜60代は、20代と遜色ないくらいの数字になっています。

 70代以上は病気などの理由によって投票したくても投票できない、という言い訳が立つにしても、50〜60代が「投票したい人がいない」という若者のような理由で投票しないのは、責任転嫁と思われても仕方がないと思います。

──96年から採用された小選挙比例代表並立制で、国政選挙では全年代で投票率が下がる結果になってしまいました。