蓋然性が低い「自民党単独過半数」シナリオ

<勝敗ラインは?>
 永田町では、勝敗ラインとして「自民単独過半数」および「与党過半数」の2つが注目されている。

 石破首相は勝敗ラインを「与党過半数」に設定している。安倍政権や岸田政権でも、当時の幹部は「与党過半数」を勝敗ラインに設定したが、緩い基準と目された。だが、今回の衆院選については、「与党過半数」を実際にクリアできるか否かが重要な勝敗ラインとなっている。

 新聞各紙による衆院選の情勢調査は、中盤頃まで「与党過半数維持、自民単独過半数割れ」というのが大体のコンセンサスだった。だが、終盤に入り、与党の苦戦が伝えられている。

 朝日新聞は10月19~20日に実施した情勢調査で「自公過半数、微妙な情勢」と報じた。共同通信も10月20~21日に実施の情勢調査で「与党過半数は微妙」と報じている。産経新聞・FNNによる10月19~20日実施の情勢調査では「与党過半数割れも」とのことだ。

 2021年衆院選、2022年参院選では、朝日新聞の情勢調査が相対的に強めだったが、開票結果に近い数値となったため、今回も注目されているようだ。無論、各社が調査手法改善を試みており、実際の結果は蓋を開けてみなければ分からない。

 なお、近年は投開票当日20時発表の出口調査を基にした議席予想が外れるという現象がみられる点に注意する必要がある。

 ともあれ、新聞各紙による衆院選の情勢調査に基づいて記述すれば、現時点では「与党過半数」がメインシナリオに、「与党過半数割れ」がサブシナリオに位置づけられる状況だろう。「自民単独過半数」の蓋然性が低いシナリオと言える。

衆院における会派別勢力分布(解散前)
拡大画像表示