「些細な問題」だと思えない

 次に政策活動費について検討したい。

 政策活動費は実は法的にははっきりしない資金である。政党から政治家個人への寄附を通称としてそう呼んでいる。自民党の場合、幹事長に10億円〜数十億円渡していたようである。現在、企業などから政治家個人への寄附は原則として禁止されているのだが、政党や政党支部、個人については認められており、特に政党に関しては個別制限も総枠制限も課されていないのである。

◎総務省「政治資金規正法のあらまし」など参照のこと

 そのためこの政策活動費が政党における不可視な権力の源泉や脱税的な資金になっているのではないかという疑問が生じるというわけだ。人件費や光熱費、備品・消耗品費、事務所費といった経常経費は領収書の写しが不要であるのみならず、政治活動費については領収書の写しの添付が求められるものの、選挙運動は該当しなかった。

 この政策活動費について、石破政権は眼下の衆院選での活用について政策の説明に活用すると言ってみたり、廃止を前提に検討するなど発言が二転三転していてはっきりしない。なお衆院選の自民党公約集には次のように記されている。

 将来的な廃止も念頭に、政策活動費の在り方や透明性の確保、その監査に関する「第三者機関」の設置、政党交付金の交付停止等の制度創設など政治資金制度改革に取り組みます。(自民党「第50回衆院選公約」より引用)
 
 最後に取り上げるのが、旧文通費であり、現在の調査研究広報滞在費である。

 直近では、2021年の10月31日投開票の衆院選で当選した議員らに在職日数1日でも満額の(月額)100万円が支払われたことで批判が高まり、注目を集めた。だが、この旧文通費はかねてから領収書の提出が不要で使途公開がなされてないことが問題視されていた。

 小欄でも言及してきたが、改正されてどうなったか。確かに日割りは導入されたが日割りが必要になるのはせいぜい選挙の月などだけで例外的だ。使途公開や領収書提出は見送られたままだ。名称変更が行われたもののむしろ現状追認的に使用目的が拡大された。旧文通費改革はその後、放置されている。

 またこの間あまり注目されていないが、会派に対して支払われる立法事務費という費目がある。一人会派にも適用される。月額一人あたり65万円である。法律の目的には、「国会が国の唯一の立法機関たる性質にかんがみ、国会議員の立法に関する調査研究の推進に資するため必要な経費」(立法事務費法)と記される。そして、こちらもやはり使途公開がなされていないのである。

 どうだろうか。ここまでの政治とカネの概要を読んでもなお、「些細な問題」といえるだろうか。筆者はまったくそうは思わない。

 むしろ詳細があまり周知されないがゆえに、多くの国民が看過してしまっているのではないかとさえ考えている。こうした裏金疑惑や政治とカネの問題解決について、各政党、各候補者らがこれまで何をなし、そしていま、何を述べ、提案しているか、改めて27日の投票の際にはぜひ思い出してみてほしい。