衆院選公示を前にした党首討論会で政策ビジョンを掲げる自民党の石破茂総裁(写真:つのだよしお/アフロ)衆院選公示を前にした党首討論会で政策ビジョンを掲げる自民党の石破茂総裁(写真:つのだよしお/アフロ)
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(渡辺 喜美:元金融担当相、元みんなの党代表)

こぢんまりした「岸破内閣」

「この世のなごり、夜もなごり。死に行く身を繋ぐるは、砂防が館(やかた)の札の束」

 これは昭和58年11月、永田町の一部に出回ったざれ歌「曽根角心中」(「お曽根」と「角兵衛」が命がけで権力を取りに行くパペット劇)の冒頭である。

 のちに「大勲位」と呼ばれる中曽根康弘総理が誕生したとき、田中角栄元総理は「闇将軍」として君臨した。中曽根内閣は「田中曽根内閣」とか「角影内閣」「直角内閣」と散々だった。後藤田正晴官房長官も二階堂進幹事長も田中側近。閣内には田中派が7人いた。

「岸破内閣」のプチ・キングメーカーは岸田文雄前総理だが、闇将軍にはほど遠い。曽根角心中の頃に比べれば、登場人物も小粒になり、魑魅魍魎から生まれるダイナミズムもこぢんまりとしている。総裁選にかかるお金も比べものにならないほど少ない。