「豹変総理」が変えていないもの

 石破さんの総裁選の前と後とで変わらない言葉がある。所信表明演説でも使われた「政治家の仕事は勇気とまごころを持って真実を語ることだ」という「ミッチー語録」だ。これは昭和60年(1985年)8月、政策集団「温知会」研修会の講演で私の親父・渡辺美智雄が語ったものである。 

「ミッチー」こと、渡辺美智雄氏(写真:ロイター/アフロ)「ミッチー」こと、渡辺美智雄氏(写真:ロイター/アフロ)
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 当時、新人の衆議院候補予定者だった石破さんから「講演テープが欲しい」と頼まれ、ダビングしたカセットをお渡しした。広い鳥取全県区を車で移動中、擦り切れるまで聞いたそうだ。

 私は40年ぶりにこの生テープを聞いてみた。音声は非常によく、久しぶりに親父の懐かしい栃木弁に触れた。今なら「ポリコレ違反」で問題になりそうな昭和のたとえ話満載なのだが、日本経済が絶頂期にあって如何に繁栄を長続きさせることが難しいか、政治家の使命は何かを分かり易く説いている。

 例えば、こんな感じである。