擦り切れるまで聞いた「ミッチー語録」

「資源のない日本は何で繁栄してきたんだ。自由主義経済と自由貿易である。これが原理原則だ。今は日米貿易摩擦で揺らいでいる。では、農産物を守るため車やカメラが売れなくなって良いのか。消費者が豊かなら、高い国産品も買ってくれる。そもそも大半が兼業農家だろう。一族郎党、輸出産業で働いている人がいるじゃないか。社会主義や保護貿易に戻ったら日本は貧しくなるぞ。農協に脅されても怯むな」

「何のために政治家を志したんだ。食わんがためか、金儲けがしたいのか、女にモテたいのか、先生と呼ばれたいのか、勲章が欲しいのか。今、政治家は軽蔑されているんだ。これほど間尺に合わない商売はない。尊敬される政治家になれ。そのためには宗教家の心、学者の探究心、実業家の結果を出す心意気を持つ必要がある。選挙のために迎合するな。信念を曲げるな。国民は必ず分かってくれる」

「まごころを持って選挙民と向き合え。信者を作ることが大事だ。理屈を述べなくとも分かってもらえるようになる。夢と希望は良いが、実現しそうもない過大な期待を与えることは罪悪だ。本当のことを信念を持って語れ。そうすれば選挙には落ちない」という具合だった。

 実は「勇気とまごころを持って真実を語れ」という言葉は、このテープでそのものズバリが出てくるわけではない。何度も繰り返し聞いた石破さんなりのサマライズ(まとめ)なのである。論語や聖書とは比べるべくもないが、ミッチー節を聞いた弟子が私を含め文字化しているものが結構ある。それが「ミッチー語録」である。

 前にも書いたように、母上の影響を強く受けた石破さんは敬虔なクリスチャンである。父石破二朗氏の代からの田中派。その石破茂さんは選挙区の事情で「里子」か「養子」に出されたようなものだ。里親の話を、牧師の説教を聞くように聞いたことは想像に難くない。心に刺さったのだ。

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