来日したレーガン大統領と中曽根首相(当時、1983年11月撮影、写真:Fujifotos/アフロ)

1.支持政党に対する日米の姿勢の違い

 米国では大統領選挙、日本では衆議院選挙が進行中である。

 衆議院選挙公示日前夜には各党の党首が揃ってニュース番組に出演し、政治姿勢や政策方針などについて意見を述べるという番組が放送された。

 党首間で論争をする形ではないが、米国の大統領候補のカマラ・ハリス副大統領とドナルド・トランプ前大統領の間で交わされる感情的な非難の応酬に比べて冷静に意見を述べる姿勢が印象に残った。

 米国の2大政党の対立の場合、各党の支持者の大多数は支持政党の立場を擁護するため、双方の間で建設的な議論を行うことが非常に難しい。

 現在日本では自民党の「裏金問題」が選挙の争点となっており、多くの自民党支持者からも批判されている。

 仮に米国の共和党内で似たような問題が生じたとしてもトランプ前大統領が見解または対策を示せば、それを大多数の支持者が支持し、支持者からの批判はごく一部に限られると考えられる。

 民主党から批判されてもそれに耳を傾ける人はほとんどいないはずだ。このように党派間の対立が先鋭化し、社会が分断されている。

 しかし、日本では自民党支持者の中にも野党からの批判に耳を傾ける人々がかなりいると考えられる。

 それは日本の投票者が支持政党の主張に左右されず、一般的に報じられている情報に基づいて自ら是非を判断し、支持政党に対する批判的な意見でもある程度受け入れる姿勢がベースとなっているためである。

 これが日本社会の分断を防いでいると考えられる。