マクロ経済政策にもう少し踏み込んでほしかったが……

 今回、石破茂さんは既に解散総選挙を10月15日公示、27日投開票ということを表明しています。また、選挙公約においても地方創生予算の倍増を視野に、地方の経済振興や人口減少対策を主眼にした経済政策を表明するものと見られます。

 これはこれで石破茂さんの総理総裁としてのやりたい政策でのこだわりだということであれば文句はないのですが、その石破茂さんのあまり高くない支持率をしげしげとよく見てみると、やはり高齢者(60歳以上)と地方、低所得といった、党内野党時代に培った支持層がそのまま今回の石破政権支持率を支えているように見受けられます。

 本来であれば、物価高対策での所得補償・税控除、給付金の拡大といった貧困対策や、年金・社会保障改革のための筋道をどうするのか、さらに26年に控える診療報酬の改定において、医師偏在対策も含めた「ゲルノミクス」を支える各種経済政策をパッケージにして国民に信を問うていく必要があります。裏を返せば、石破茂さんが抽象的に話している「日本を守る」「国民を守る」は、具体的に何のことなのか、何をしようとしているのかを明示しなければならない、ということに尽きます。

 ところが、石破茂さん自身はあまりマクロ経済の政策にはあまり興味がなかったのか、政策金利を上げる上げないで総裁選と現在ではブレブレになり、また消費税でも金融所得課税でも出生対策でもこれといった確たる具体的なことはお話しになっていません。

 もうちょっと踏み込んでいいんじゃないかと思うんですが、特に何もおっしゃらないんですよね。

 また、国立大学改革を含めた教育無償化や外国人労働者の受け入れ問題、勤労者向けのリスキリングだけでなく産業競争力に直接資する制度改革や規制緩和的なこと、ベンチャー投資や技術振興・設備投資に対する減税なんて具体的な話はあんまり出てきません。何をされるおつもりなのでしょうか。

 いや、まあ興味がないんだと思いますが……、普通、国民に信を問う場合には国民生活の安定を目指すために、大きい負担と大きい政府(高福祉高負担)でいくのか、小さい負担と小さい政府(低福祉低負担)でいくのかという目線で、ざっくりと政権がどっちに向かおうとしているのかぐらいは明示してほしいなあとは思います。

 同様に、安全保障の分野でも、日米豪印4カ国の枠組み「QUAD(クアッド)」への路線回帰と共に、サイバー方面の安全保障や航空宇宙での日本の役割、さらには次の通常国会で議論されるエネルギー基本計画に向けた原子力発電所の新規建造・再稼働に向けた話や再生エネルギーに関する考え方ぐらいまでは、国内の産業界も含めて石破さんの本当の考えを聞きたいところだと思うんですよ。