関心の大きさは「馬、犬、夫、子どもたち」の順?

 エリザベス女王が公衆の前で走っている姿が目撃されたのは、わずか2回しかない。1度目は1954年に女王の所有する馬がアスコット競馬場で勝った時。2度目は91年にエプソムダービーで勝ち馬を当てた時、ゴールを見ようと前に駆け寄った時だ。

 57年、駐仏英国大使夫人は日記で「女王はほとんど完璧な人でした。ほとんどというのは馬や競馬を除いて芸術や庭園、本など女王が興味を示すものは何も見つからなかったからです」と嘆いている。96歳になっても女王は愛馬が出走する競馬中継で大声を上げ、警備員を驚かせた。

2015年11月、89歳で乗馬するエリザベス女王(写真:Shutterstock/アフロ )
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 女王にとって最も大切なものは馬、犬、夫、子どもたちの順というのが侍従間のジョークだ。全部で30匹以上のコーギーを飼育し、最高で13匹を同時に飼っていた。しかし晩年、コーギーの繁殖を止め、亡くなった際にはコーギー2匹と交雑種のドーギー1匹が残っていた。

 ある首相が「こんなにたくさんの犬を見分けられますか」と尋ねると、「自分の子どもを間違えますか」と女王。

 夫のフィリップ殿下はコーギーに行く手を阻まれ「忌々しい犬だ。どうしてそんなにたくさん飼う必要があるんだ」とキレた。女王は「この子たちは収集品よ」と返した。

1973年、英国ウィンザー城にて。左からエディンバラ公フィリップ殿下、エリザベス女王、エドワード王子、アンドルー王子(写真:Everett Collection/アフロ)
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