ニュースもバラエティ番組もワイドショー化

 もちろん「爆食を見て笑ってもいいじゃないか」という意見もあるでしょう。それでも、テレビは影響力が大きいメディアであるという自覚のもと、「今、何が社会の課題なのか?」という鋭い感度と、「何を笑いの対象にするか?」という細やかな感性を持って情報発信すべきではないでしょうか。

オワコンのテレビに今さら何を期待するのか?

 このような辛辣な意見をインターネット上で時々見かけます。そんな声が出てしまうのは、似通った、ワンパターンな番組が多いのが一因ではないかと考えています。

 キー局に勤める友人は「番組制作費の削減によって、ニュースもバラエティ(番組)もワイドショーみたいになっている」と、多様性が失われている現状を嘆いていました。私は以前から、「絶品グルメの紹介」と「当たり障りのないおしゃべり」ばかりがテレビで増殖していることが気になっています。

「テレビに何を期待するのか?」という問いに対して、私は「国民の生命を守ることがある」と考えています。

 ニュースを見ていると、国民の生活や安全を脅かすような出来事が頻発しています。この夏も毎週のように線状降水帯が発生し、各地で豪雨災害が起きました。国際関係にも緊張が走っています。中国軍やロシア軍の飛行機が相次いで日本領空を侵犯し、11月の米大統領選の結果次第で日本を取り巻く環境が大きく変わる可能性があります。

 テレビにはこうした情勢を正しく伝え、どう備えるべきか議論を喚起する役割があるはずです。

 そんな中、テレビの役割を思い出させるような番組がありました。