ユーモアを散りばめながらも「法の下の平等」に徹底的にこだわるストーリー
いよいよ終盤に差し掛かった朝ドラことNHK連続テレビ小説『虎に翼』の人気が相変わらず高い。最近の週平均の個人視聴率は9.6~9.8%を推移。前作『ブギウギ』の全回平均の個人視聴率9.0%を大きく超えるのは確実だ(視聴率はビデオリサーチ調べ、関東地区)。
朝ドラの主なファンは50代以上だが、『虎に翼』に限ると視聴率を上積みしているのは10代。T層(男女13~19歳)と呼ばれる視聴者層である。T層の個人視聴率は2%前後もある。通常の朝ドラの2倍からそれ以上だ。この時間帯のどの番組より観られている。
夏休みに入った7月22日以降はT層の数字がさらに上昇している。同24日の個人視聴率は3.0%を記録した。同じ24日午後9時からのテレビ朝日『科捜研の女』は同0.8%、同10時からのフジテレビ『新宿野戦病院』は同1.3%だったから、両ドラマを超えた。
それどころではない。この日放送された全番組の中で、T層に一番観られたのは『虎に翼』だった。驚くべき支持の高さなのである。
10代が好むわけは物語のテンポが良く、センスの良いユーモアが散りばめられているからだろう。もっとも、第1の理由は違うと見る。憲法第14条「法の下の平等」をメインテーマとし、徹底的に拘っているからに違いない。
大人だって第14条が嫌いな人はほとんどいないはず。しかし、年齢を重ねるに連れ、世の中の不平等をあきらめてしまいがちだ。差別に対し、見て見ぬ振りをしてしまうこともあるだろう。
理想に燃える10代は違う。平等の実現を求めているはずだ。大人たちがつくってしまった格差社会や差別などが我慢ならないのではないか。だから、平等を追求する主人公・佐田寅子(伊藤沙莉)の物語に惹かれるのだろう。