民放のバラエティ番組に見た「光明」

 テレビ朝日『池上彰のニュースそうだったのか!!』、BS-TBS『関口宏のこの先どうなる!?』、テレビ東京『有吉木曜バラエティ』などでも、防災関連の知識や知恵を真摯に伝えていたのです。

『有吉木曜バラエティ』は、大地震が起きた時に取るべき行動を具体的に提示したほか、さまざまな防災グッズを紹介し、物心両面の備えに参考となる内容でした。

 バラエティ番組なので、本来なら、明るく楽しい話題の方が高い視聴率が期待できて、CMセールスでも有利だと思います。しかし、あえて防災をテーマにしたところに、制作者の矜持を感じました。

 記事の前半で、米不足の中、「爆食」を取り上げた番組に疑問を覚えたという話をしましたが、食べたり、おしゃべりしたりするだけの番組以外でテレビが存在感を発揮することはまだまだ可能なのです。

 科学が進歩した現代では、大地震が起きるたびにメカニズムを検証し、データを集めて知見を得ています。しかし、現段階では予知できる域には至らず、残念ながら「想定以上の」「想像を超えた」災厄に再び見舞われています。

 阿鼻叫喚の世界は、小松左京の『日本沈没』(1973年刊行)のようなSF小説の中だけであってほしいものです。執筆の動機について、小松左京は次のように語っています。

「高度経済成長に浮かれた日本人に、国を失う危機に直面させてみようと思った。日本人とは何か、日本とは何かを考え直したかった」

 低成長の現在、日本人が浮かれているとは思いませんが、地震や豪雨などの自然災害が頻発するだけでなく、対外関係も変わりつつある今、この国のあるべき姿をしっかりと意識する時期に来ているのではないでしょうか。

 そうした日本の課題を提示し、考えるきっかけを国民に与えるのもメディアです。とりわけテレビの果たす役割は大きいと思います。