4.兵器を大量生産する基盤はあったのか

 ミサイルを製造するには、爆薬・推進薬に加えて、技術力、鉄鋼生産力、電力、労働力が必要である。

 北朝鮮の技術力は、ロシアから提供を受けた技術やこれまでの開発の経緯からみて「ある」とみてよい。

 鉄鋼生産能力については、国力から、あるいは、ロシアからの支援でミサイル製造のための量を確保することはできるであろう。

 労働力は、これまで兵士に製造させていたが、これだけ大量に生産するには、「不足」しており、民間の労働力を早急に必要としている。

 爆薬と推進薬製造施設は、平壌の北約20キロにある順川に位置する順川燐酸肥料工場を2020年に建設を完了させていた。

 その竣工式には、当時死亡説まで流れていた金正恩氏が突然出現したこともあって注目された。

 その工場は、建物を詳細に見ると肥料も製造しているが、主に弾道部分の火薬やミサイルの推進薬となる燃料を製造している。

 これから、大量のミサイル等を生産するために必要となるものは、電力、そして、労働力である。

 電力は極端に不足していたが、最近、ロシアから供給を受け、あるいは火力発電の燃料をロシアから供給を受け、ミサイルを生産するための電力量は確保しているだろう。

 ミサイルの製造、あるいは製造するための工場施設、工場を動かす発電と送電施設を建設するため、および材料などを運搬する輸送力を担う「労働力」が必要になる。

 兵器製造施設には、これまで製造していた規模の労働力しかない。

 急速に製造するためには、すぐに働ける労働力が必要になる。それを北朝鮮はどこから集めるのだろうか。