外交問題については玄人はだしで、特に対イラン政策については、2015年に米英など5か国+EUがイランと合意した「Joint Comprehensive Plan of Action 」(包括的共同作業計画)を高く評価していた。

 それだけに同協定を一方的に破棄したトランプ大統領(当時)を激しく批判している。

 外交経験も軍事経験も一切ないが、2022年2月には、ウクライナを訪問し、ロシアによる軍事侵略の実態をつぶさに見聞していた。

 当時、ニューヨーク・タイムズはじめ内外メディアとの取材にも積極的に応じ、「トランプ氏はウクライナの自由など考えていない。再選されれば、ウクライナ支援をストップするに違いない」などと公言していた。

 ラウス容疑者は、ウクライナでの体験を踏まえ、ウクライナでロシア軍と戦う義勇軍を募る運動を始め、侵略者ロシアに重ね合わせる形で中国の台湾侵攻に備える義勇軍派遣運動にも手を染めていた。

(ともに実現には至らなかった)

newsweek.com/ryan-routh-donald-trump-encouraged-assassination-book

 ラウス容疑者は、2023年2月、独自の外交提案をまとめた著書を上梓した(Kindle版・ 電子書籍のみのようだ)。

 タイトルは「Ukraine’s Unwinnable War: Fatal Flaw of Democracy, World Abandonment and Global Citizen—Taiwan, Afghanistan, North Korea and End of Humanity

 ラウス容疑者は、この本の中で、こうも書いている。

「トランプという男は愚か者、下卑た道化師だ。万一、米国内に(大統領選で)正しい選択をする者がいないのであれば、たとえ不自然な選択であろうとも、外部の者がやってもおかしくない」

「この男を暗殺するのは自由だ」