再び「戦う殉教者」になれるか

 ところが、トランプ陣営は今回の新たな暗殺未遂事件を起死回生のテコに使おうとしている。

 7月13日の暗殺未遂事件の時には右手を突き上げて「ファイト、ファイト、ファイト」と叫んだ血だらけのトランプ氏は、「戦う殉教者」(Martyr)となって、その直後、支持率を急増させた。

「柳の下の二匹目のドジョウ」狙いだ。

 しかも、今回はどうやら民主党支持の確信犯のようなのだ。

 共和党の有力コンサルタントの一人、マイク・マドリッド氏はこう言い切っている。

「一度と言わず二度目の暗殺未遂事件に、我々はこういうことをなくすために戦っているのだ、と有権者に訴えることができる。これこそ民主主義に対する挑戦以外の何物でもない」

「トランプ氏を支持する有権者は雪崩現象を起こすに違いない」

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 このところ、トランプ氏が「オンライン右翼の女王」、ローラ・ルーマー氏を「溺愛」していることに危機感を抱いている共和党の重鎮、リンゼイ・グラハム上院議員(サウスカロライナ州選出)。

 同氏は、暗殺未遂事件の直後、トランプ氏と電話で話した一人だ。そのグラハム氏は、メディアにこう述べている。

「トランプ氏は最も強固な人間の一人だ。彼は上機嫌だ。米国を救う決意に満ち満ちている」

 同氏も今回の暗殺未遂事件を巻き返しの好材料と見ているのだ。

 大統領選まで50日を切った。トランプ氏は災い転じて福となす、のか。とりあえず、ここ2、3日後の世論調査の結果がどう出るか、に注目だ。