他の日本人選手を圧倒する大谷の打球速度

 大谷は、こうした取り組みによって「スタットキャスト」の上位に顔を出し、すごい成績を上げているのだ。ここ数年「スタットキャスト」上位の顔ぶれが変わらないのは、ライバルたちも同様の努力をしているからだろう。

2018年5月、メージャー移籍1年目、エンゼルス時代の大谷翔平。すでにドライブライン・ベースボール特性の重いボールを手にしている。大谷がドライブラインを実際に訪れるのは2020年のオフだが、このころから同施設のトレーニングに関心があったようだ(写真:AP/アフロ)
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 ちなみに、キャリア最晩年に差し掛かった2018年、マリナーズのイチローの打球速度は100.1MPH(161.1km/h)。規定未満だが、最下位に相当する。また、2020年にMLBに移籍した筒香嘉智は、108.9MPH(175.3km/h)で257人中166位、同じく秋山翔吾は104.0MPH(167.4km/h)で253位だった。打球速度から見る限り、活躍する可能性は低かったのだ。

 昨年のWBC、強化試合前の打撃練習でバンテリンドームの最上段に打球を打ち込んでいた大谷翔平の打撃を見て、ヤクルトの村上宗隆がアナリストに打球速度を聞いた。おそらくその数値は190km/h近かったはずだ。村上はNPBでトップクラスの打球速度だが、それでも180km/h前後。MLBに挑戦するうえで「打球速度がいかに大事か」を知る村上は、そのあまりの差に愕然とした。

 MLBは、精神論や、根性論とは異次元のデータ野球の世界になっている。大谷はこの最先端のステージでトップランナーとして走り続けているのだ。