中国の親族ばかりではない。海外の民主活動家本人の窮状も同じだろう。新天地に順応できたのは若い世代だけで、中年以上の人々は語学の習得もままならず、定収入が得られる就職も難しい。彼らに対する支援が先細りするに連れて、生活はひっ迫した。

 それに加えて、中国政府から「恫喝」と「甘言」による圧力が重くのしかかり、民主化運動の活動に参加する者は年々減少の一途をたどってきた。

互いに「工作員」を送り込みあう米国と中国

 中国政府は「統一戦線工作」の名の下で、海外に情報工作員を大量に送り込んで諜報活動に血道をあげている。とりわけ米中両国は熾烈な戦いが繰り広げられている。

 数年前には、北京で20人あまりの米国の諜報員が一網打尽になり、米国の諜報活動はほぼ全滅したという噂が立ったほどだ。米国でもしばしば中国の「スパイ逮捕」の報道が流れる。

 今回逮捕された唐とは別に、8月初旬に逮捕された王姓の民主活動家の場合、ニューヨーク東部地区の連邦裁判で陪審員は、「外国の代理人と謀議を働き、外国の代理人となり、偽の身分証明書を所持し、捜査段階で虚偽の陳述をした」など4項目の罪を評決した。最高刑なら25年の実刑判決が下る。

 唐の場合、情状酌量の余地があるとはいえ、決して軽い刑では済まないだろう。裁判の行方が気がかりだ。おそらく水面下では、もっと多くの民主活動家が政治利用されているのではないだろうか。