1989年6月4日、天安門事件当日のワンシーン。警察による非常線を突破して天安門広場になだれ込もうとする学生たち(写真:ロイター/アフロ)
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(譚 璐美:作家)

中国の反体制派がいつしか「中国のスパイ」に

 ニューヨーク在住の民主活動家の唐元隽(タン・ユェンジュン)が、中国国家安全部の諜報活動に加担したとして、米国連邦検察庁(FBI)により逮捕、起訴された。

 米国のCBSネット(8月21日付)によれば、唐元隽は1989年の天安門事件で台湾へ逃亡し、米国で保護されて後、中国政府に反対して民主化運動の活動に参加してきた。しかし2021年、ニューヨークで行われた天安門事件の追悼記念活動に関する資料を中国の情報工作員に提供したほか、22年には中国系米国人の国会議員候補者の選挙活動と募金収集の資料を提供したとされる。

 23年7月、FBIは唐の所持していたパソコンと5台の携帯電話を押収。その中の1台に中国国家安全部の情報工作員との連絡内容の記録やオンライン銀行口座などが発見された。22年に情報工作員から手渡された携帯電話にはプログラムが仕込まれ、写真、スクリーンショット、音声記録など、全ての情報が中国側へ瞬時に転送されていたという。

FBIにより逮捕・起訴された唐元隽。天安門事件に関わったことで8年間の投獄生活を余儀なくされた。米国に亡命後は各地の民主化運動に参加していたが、その陰で中国当局に通じていたという(本人のXより)
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 起訴状によれば、2018年、中国国家安全部の情報工作員が唐に接触し、米国に政治保護されたときの詳しい状況や、米国在住の中国民主活動家たちの活動資料などを提供する見返りとして、中国へ里帰りすることを許可した。

 唐は2019年から2023年にかけて、3度にわたり中国やマカオへ渡航して親族と面会し、報酬を受け取っていた。