みんなに「京大にしたら?」で狙ったピグマリオン効果

あやね:私の高校では、学校としては「進路指導はしません」っていうスタンスだったので、先生との面接の時、「悩んでるんです」って言っても、諦めろとも、行けるとも絶対言わなくて。「じっくり自分で考えて」って言われて。ただ、うち、親が京大受けること、反対してたんで、逆に学校で「自分の好きにしたらいいよ」って言ってくれるのは、ありがたかった。

岡邊:親の反対っていうのは? 

あやね:お母さんが「阪大にしたら」ってずっと言ってたんですけど。

岡邊:どういう理屈ですか?

あやね:「落ちたらどうするん?」っていう。

岡邊:なるほど。浪人リスクを考えてね。学校の先生が「京大も選択肢だよ」みたいな話で後押ししてくれた経験は、誰か、ありますか?

しおり:はい。高1の入学して最初ぐらいの面談で、志望校、やりたいことみたいな話があったと思うんですけど、行きたい大学名を聞かれて、その時は何も考えてなくて普通に「公立の行けそうなところ」って言ったら、「もったいないから京大にしたら?」みたいに。

岡邊:「もったいないから」ではなくて、勉強ができたからでしょ?

しおり:でも、私の学力から、京大に行けるとかじゃなくて。その時は、私だけに言ってくれたんかなと思ってたんですけど、何かほんまは、みんなに言ってて……。

ゆうだい:種、蒔きまくるみたいな。

しおり:そう言われたから、それを真に受けてやったんで。京大受験の後押しには、すごくなった気がする。

岡邊:教育心理学で、ピグマリオン効果っていう考え方があります。「君、できるよ」って言われたら、ほんとにできるようになるって、そういう効果。多くの実験で検証されてます。

 先生は、そういう効果を狙ってるかもしれない。みんなに「京大行けるよ」って言うことによって、実際に、ほんとに成績が上がっていくって、そんなことを期待しているかも。