ソフトドリンクに大量の糖分、その量は?

 ペットボトル症候群とは、糖分の入った清涼飲料水を短期間に多量に摂取することで生じる急性糖尿病のことです。正式には「ソフトドリンク(清涼飲料水)ケトーシス」と呼ばれます。

 ソフトドリンクに大量の糖分が含まれていることは、最近、少しずつ知られるようになってきました。種類によって幅があるものの、500mlのペットボトル1本に含まれる糖分は40〜70グラム。角砂糖1個を4グラムとすれば、コーラ1本で角砂糖10数個分、スポーツドリンクで6~8個分の糖が含まれています。ソフトドリンクを飲むと、大量の糖を体内に入れていることになるわけです。

 では、どのようなメカニズムで症状が発症するのでしょうか。
 

図:フロントラインプレス作成
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 暑い日にソフトドリンクを飲むと爽快感を覚えますが、血糖値は上昇します。血糖値が上昇すると、のどがかわきますから同様の飲料をまた摂取したくなります。お茶や水なら問題はないのですが、こうやって次から次へとソフトドリンクを飲むと血糖値はさらに上昇するという悪循環に陥ります。

 血糖値が上昇すると、膵臓(すいぞう)からインスリンが分泌されます。インスリンは糖の利用を促進するため、血糖値を下げていくのですが、あまりにも血糖値が高いとインスリンの働きが悪くなり、糖を身体のエネルギー源として利用できなくなってしまうのです。

 そうすると、糖に代わるエネルギー源として体内に蓄えた脂肪が分解され、エネルギー源として利用されます。その脂肪分解の際に出る物質が「ケトン体」です。

 ケトン体が体内に蓄積されていくと、ペットボトル症候群の症状が現れます。のどがかわく、頻尿になる、だるい、疲れやすい。そうした症状に加え、イライラが募ったり、吐き気が出てきたり。ひどくなると、意識がもうろうとし、昏睡状態になることもあります。これがペットボトル症候群と呼ばれる急性糖尿病の正体です。急性の代謝異常ですから、軽く見るわけにはいきません。