実は30年以上も前から警鐘
ここ数年の猛暑によってペットボトル症候群が注目されるようになってきましたが、この症状が日本糖尿病学会で初めて報告されたのは今から30年以上も前の1992年でした。研究成果を発表したのは、聖マリアンナ医科大学(神奈川県川崎市)と福岡県糖尿病クリニック懇話会の研究グループです。
それによると、ある一定条件下で発症した糖尿病患者の状況を検討したところ、10代〜30代の男性に急性患者が多いことが判明。それぞれ1日2リットル程度のコーラやジュースなどを摂取し続けた結果、ほぼ1カ月以内という短い期間に、大量のケトン体が体内にたまり、さまざまな症状を発症する「ケトーシス」になっていたことがわかったのです。
グループはペットボトルの容器から取って、この症状を「ペットボトル症候群」と名付けました。若い世代に症例が多かったのは、ペットボトル飲料をがぶ飲みする習慣があったためとみられています。
この研究発表をきっかけとして、医療の世界ではペットボトル飲料の大量摂取による症例に注目が集まるようになりました。その後は、重い膵臓の病気につながったケースや合併症で死亡したケースなどが続々と報告されていきます。
もちろん、この症状は夏の暑い日にのみ起きるわけではありません。季節に関係なく、食習慣が乱れていたり、過食や肥満気味だったりする人が集中的にソフトドリンクを飲むと発症します。