1860年、江戸幕府から派遣された万延元年遣米使節団の面々。写真はワシントン海軍工廠訪問時のもの(Mathew Brady, Public domain, ウィキメディア・コモンズ経由で)
拡大画像表示

(柳原 三佳・ノンフィクション作家)

 共和党のドナルド・トランプ前大統領(78)が、第47代アメリカ大統領に当選しました。11月11日に第2次石破内閣を発足した石破茂首相は、この日の夜に行われた記者会見で、「トランプ次期大統領となるべく早いタイミングで直接会談する機会をもちたい」と発言。日程は未定ですが、この先の日米関係の行方に関心が高まっています。

「外交上の贈り物」はアート

 トランプ氏との会談……、と聞いて思い出すのは、8年前、ヒラリー・クリントン氏を破り、第45代アメリカ大統領に当選した直後の「ゴルフ外交」エピソードです。当時の安倍晋三首相は2016年11月17日、早くもニューヨークに駆け付け、ゴルフ好きで知られるトランプ氏に1本50万円する「黄金のドライバー」をプレゼント。トランプ氏はとても喜び、その後の会談は予定の2倍にあたる約90分間にわたっておこなわれたそうで、当時、大きな話題になりました。

 さかのぼれば、安倍氏の祖父である岸信介元首相も1957年に訪米した際、当時のドワイト・D・アイゼンハワー大統領(第34代)と一緒にゴルフをして親交を深めたそうです。「ゴルフ外交」は、先々代から引き継がれていたということですね。

 以下の記事にこんな一説がありました。

(外部サイト)外交で重要な贈り物、意外な事実も(AFPBB News:2014年12月25日)

『米国務省のある職員はAFPに対し、「外交上の贈り物は長い歴史を持つアートであり、多くの指導者や国々から非常に重要に受け取られるため、われわれはあらゆる状況に備えておかなければならない」と語った』

 なるほど、「長い歴史を持つアート」という言葉は、まさにその通りだと感じます。