日本人が初めて会った米大統領は第15代ブキャナン大統領

 日本人が初めてホワイトハウスでアメリカ大統領に謁見したのは、今をさかのぼること164年前、1860年のことでした。

「万延元年遣米使節」と呼ばれている一行の目的は、日米修好通商条約の批准書を大統領と交わすことでした。幕府から命を受けた正使・新見正興(しんみまさおき)、副使・村垣範正(むらがきのりまさ)、目付・小栗忠順(おぐりただまさ)を正規の代表とする総勢77名の遣米使節団は、江戸まで迎えに来たアメリカの軍艦「ポーハタン号」に乗り込んで太平洋を渡り、パナマ鉄道や他の軍艦を乗り継ぎながら、アメリカの首都であるワシントンへと向かったのです。

 本連載の主人公である「開成をつくった男・佐野鼎(かなえ)」もこの使節団に従者の一人として参加し、約9カ月間かけて地球を一周。このとき書き記していた詳細な『訪米日記』の内容は、本連載でもたびたび紹介してきました。

アメリカの第15代大統領ジェームズ・ブキャナン(From Brady daguerreotype (Mathew Brady) (1822-1896), Public domain, ウィキメディア・コモンズ経由で)
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 以下は日本の使節団がホワイトハウスで第15代のジェームズ・ブキャナン大統領に謁見する様子が描かれたイラストです。

ホワイトハウスでブキャナン大統領に謁見する使節団の面々

 アメリカの人々は、初めて見る東洋のサムライたちの姿に歓喜し、ワシントン、ニューヨークなどでは歓迎のパレ―ドが大々的に催されたことが記録されています。

日本人使節一行がホワイトハウスを訪れた日の様子を伝えるアメリカの新聞に掲載された挿絵。『万延元年のアメリカ報告』(宮永孝著)より引用