女は徐々に「エロティック・キャピタル」が減っていく?

──女性が働いて、男性が家庭で家事・育児をするというのはやはり難しいですか?

:私の知り合いに、妻がバリキャリで夫が子育てする「専業主夫」の家庭があります。でもこのケースは、夫はたしかにあまり収入がありませんが、賞をとった画家で個展も開いています。

 女性は、新しい彼氏ができると女友だちから必ず、「どういうひと?」と訊かれるそうです。女性の恋愛では選り好みの基準がきわめて重要ですから、自分がなぜその男性を選んだのかを説明しなければならないのでしょう。

 これが「女友だちに自慢できる男がモテる」理由で、知人の場合は「夫はお金は稼げないけど、けっこう有名な画家なの」と答えることで「説明責任」を果たせるのです。

 それに対して男友だちの間では、つき合っている相手の学歴やキャリアが興味の対象になることはほとんどありません。「お前の彼女、美人なの?」のひと言で終わってしまいます。あまり指摘されませんが、この大きなギャップも男と女の性戦略の非対称性から生まれるのでしょう。

(写真:Paylessimages/イメージマート)

 女性の上方婚指向は、とりわけ収入の少ない男性にとって、恋愛のハードルを大きく引き上げますが、女性の側も「もっと良い人がいるかもしれない」と高望みしているうちに、「エロティック・キャピタル(エロス資本)」のピークを過ぎてしまうかもしれません。

 これも「不都合な事実」ですが、女性が男性の収入を気にするのに対して、男性にとってもっとも関心が高いのが女性の年齢です。エロティック・キャピタルはイギリスの社会学者キャサリン・ハキムの用語ですが、女性なら誰もが気づいているように、10代半ばから増えはじめ、20代前半でピークに達し、30代半ばを過ぎると減少します。

 これもフェミニストから怒られるかもしれませんが、エロス資本を前提にしないかぎり、「パパ活」のような社会現象を説明することはできないでしょう。