米重 石丸さんは一つの戦い方を確立しましたよね。それによって今回の都知事選で165万票を獲得したというのはものすごい政治的資産です。当然、その資産を次にどのような場で使うのかというのが注目されることになります。

山本 今回、石丸さんが見せた勢いに、日本維新の会関係者は非常に危機感を持って見ています。

米重 維新は危機感は持った方がいい。投票日当日の報道各社の出口調査で、維新支持者の半分くらいは石丸さんに投票していることが分かっています。これまで維新とか国民民主とか“第三極”的な政党を支持してきた有権者の票が、今回かなり石丸さんに吸い取られました。政党のラベルがついていなくて、どの党の推薦も受けず、しがらみがない石丸さんは、既成政党不信・政治不信を抱いている有権者の票の受け皿として非常に機能したんです。逆に維新は、都知事選で石丸さん陣営に関われなかったことで、潜在的脅威を育ててしまったとも言えます。

(写真:小檜山毅彦)

都知事選で見せつけた石丸パワー、“次の選挙”でも発揮できるか

山本 2010年ごろからの政治史的に見ると、まず2009年にみんなの党が出来、2012年に維新が国政に出てきた。いわゆる第三極的なものが確立するのが2010年代前半です。この流れがしばらく続き、さらにそこに、れいわ新選組や参政党が出てきた。石丸さんの登場もその系譜に連なるものになっている。ただ、この層はけっこう移ろいやすい人たちなので、党なり政治個人がどれだけ支持者を引き付け続けられるかが大事になってくる。

 逆に言えば、もしも石丸さんが次の衆議院選に出馬するのだとしたら、その成否は衆院選の時期がいつになるかが非常に大事になってくる。この秋に解散総選挙ということになれば今回の都知事選の勢いのまま行けるでしょうが、来年となるとまた情勢も違うし、支持者も今回のように熱烈に動いてくれるかどうかは未知数です。だから石丸さんとしては、支持者が離れないよう、賞味期限が切れないようにYouTubeで発信を続けるなど頑張らないといけないでしょうね。

米重 データが示していますが、石丸さんの支持層はイデオロギーの枠にとらわれない、ポピュリズム的傾向を持つ人々が大勢を占めています。そういう支持層がなびくようなメッセージを次の選挙でも出せれば、一定の票を獲得できるのではないでしょうか。

山本 ただここからの一年は政治日程が大変なことになっています。

 参議院は来年の7月28日が任期満了。同じ7月には都議会も任期満了を迎えます。12年に一度の都議選と参議院選が重なる年なんですが、そういう年は政治が大きく動きます。しかもそこに来年10月に任期満了の衆議院選が絡んでくる可能性もある。何より今年の9月には自民党の総裁選があります。

米重 今回、支持者から大きな期待を寄せられた石丸さん、そして衆議院くら替えの可能性が指摘されている蓮舫さんは、この日程を睨みながら次の戦略を練ることになりますね。特に石丸さんが次のステージでどう勝負をかけていくのか、引き続き注目していきます。