無党派層の票を一気に集めた石丸氏の吸引力

米重 それに対して次点だった石丸さんですが、得票が想像を超える165万票もの支持を集めた要因は、「政治不信の土壌」と「ネット地盤の拡大」の掛け算があったように思います。

米重克洋(よねしげ・かつひろ) JX通信社代表。1988年生まれ。大学在学中の2008年に報道ベンチャーのJX通信社を創業。世論調査の自動化技術やデータサイエンスを生かした選挙予測・分析に加え、テレビ局や新聞社、政府・自治体に対してAIを活用した事件・災害速報を配信する『FASTALERT』、600万DL超のニュース速報アプリ『News Digest』も手がける。著書に『シン・情報戦略 誰にも「脳」を支配されない 情報爆発時代のサバイブ術』(KADOKAWA)がある(写真:小檜山毅彦)

 今回の選挙戦終盤、「石丸現象」が起きそうだということで、当社では石丸さんにスポットライトを当てたネット調査を実施したんです。その中の質問項目で、新聞、テレビ、ニュースサイト、YouTube、X、TikTokといった媒体をあげて、「投票の参考にしますか」「政治や社会の情報源として何を一番に使っていますか」と尋ねたところ、YouTubeを政治や社会の情報源に使っているという人は非常に投票意向が高いという結果が出ました。もちろん新聞をメインの情報源にしている人は「投票に必ず行く」とか「期日前投票に行った」という人が7割くらいいるのですが、YouTubeをメインにしている人も6割超がそう同様に答えていたのです。

 このYouTubeのユーザーに石丸さんを支持する人が多かった。一日のうち政治や社会の情報源として一番長い時間使っているものを訪ねたところ、「YouTube」と答えた人では石丸さんを支持する人が最多となっています。YouTubeというネット地盤の中では、石丸さんが大きいウェートを占められていたのです。これが選挙戦の終盤で大きく支持者を増やした要因だと思います。

 もう一つの「政治不信」の部分ですが、石丸さんの支持層を分析したところ、既成政党・政治家に対する不信感がものすごく強いのが特徴でした。この傾向は小池さん、蓮舫さん、石丸さんとで比べても、石丸さんが一番強かった。逆に蓮舫さんはこの層を捉えられなかった。これが蓮舫さんの敗因になりました。

 蓮舫さんのもう一つの敗因は、民主党政権に対する否定的感情の強さです。「<2009年から3年間の民主党政権は総じて評価できる>という意見に共感しますか」という問いに、共感しない人が圧倒的に多い。つまり、自民党の裏金問題などで高まった政治不信はあるけれど、だからといって民主党の流れを汲む政党は投票対象にならない、と考えている有権者が現在も多いのです。そこで、第三極的な志向を持っていた有権者やそもそも政治に関心を持っていなかった有権者の受け皿に石丸さんがなったという側面もありました。

 蓮舫さんは、反小池・非小池の受け皿になるつもりだったと思いますが、そこを石丸さんにごっそり奪われる格好になりました。

東京都知事選で落選が決まり、涙をこらえながら会場から引き揚げる蓮舫氏=7月7日夜(写真:共同通信社)