山本 世論調査では蓮舫さんは女性からの支持が低いとされますが、そこに明確な理由はあるんですか。

米重 ひとつは政党ラベルに起因する問題、もう一つは個人のパブリックイメージの問題です。

 政党ラベルについては、そもそも蓮舫さんは参議院選で政党ラベルの下で勝ってきた人であり、立憲民主党や共産党の支持層から支持されている。その支持層とは政治意識の高い比較的高齢の男性が中心です。すなわち蓮舫さんの支持層も高齢男性が多めになる。

 もう一つのパブリックイメージについてですが、蓮舫さん自身の認知度は高いんですが、同時に好感度が低いという側面があるのは事実です。この好感度については、実は蓮舫さんが悪いというわけではないんだと思います。野党歴が長く、その党の中で特に自民党を追及する役割を担ってきた結果、攻撃的なパブリックイメージが定着してしまっている部分もあると思います。その追及スタイルが今回の都知事選の戦い方とは合わなかった。現職都知事が深刻な不正やスキャンダルを抱えているような状況なら、蓮舫さんのスタイルはばちっと合ったと思いますが…。

都知事選に馴染まなかった「政治とカネ」の問題

山本 蓮舫さんが当初打ち出した「政治とカネ」の問題も都知事選とは相性が良くなかった。さっきも触れましたが、静岡県知事選で自民党候補が敗れた翌日に蓮舫さんは出馬表明した。政治とカネの問題が都知事選でも大きな争点になるかと思われましたが、告示の3日後には国会も閉幕して「政治とカネ」の問題追及の場もなくなった。しかも都知事選の選挙期間は17日間と非常に長い。衆院選が12日間、都道府県議選が9日間、一般の市長選は7日間です。17日もあると世論の潮目も変わります。そこは蓮舫さん陣営の誤算じゃないですかね。

米重 政党レベルの話をすると、都議会においては自民、公明、都民ファーストの3会派がないと過半数に達しないので、小池さんとしては3期目を円滑に進めるためには選挙において自民党と適度な協力関係を保つ必要があった。自民党にとっても、昔みたいに政党復活予算があるわけでもないので、都政与党の立場にいる方がなにかと都合がいい。そういう意味では、都知事選はお互いの利害が一致した。

 一方で都知事選と同日に実施された都議補選では、候補者を立てた8選挙区のうち2つしか議席を確保できないという惨敗でした。

山本 自民党としては、今はとにかく政治とカネの問題を一刻も早く鎮静化させたい。そこで行われた都知事選の最中は、「政治とカネ」への批判が止んでいたので、やっと一息つけた感もありますね。

(写真:小檜山毅彦)

 一方で蓮舫さんを推した立憲民主党と共産党のダメージは大きい。都知事選前は「次の総選挙で政権交代だ」というくらいの勢いがあった。しかし都知事選の最中から、その勢いは影も形もなくなった。有権者は都知事選と政権交代の問題を表裏一体と見ているのか、全くの別物と見ているのかわかりませんが、立憲への支持が、自分たちが見込んでいたほどには拡大していなかったという現実を見たんだと思います。