石丸氏の街頭演説スタイルは田中角栄流

米重 一方で、政党の支援を受けなかった石丸さんは公設掲示板のポスター貼りも早く、機動力がありましたね。

山本 石丸さんの戦いぶりはすごかった。米重さんが指摘されたYouTubeなどでの動きも活発でしたが、私が感心したのは遊説のスタイルです。

 石丸さんの選挙参謀には、藤川晋之助さんという元大阪市議会議員で、もともと田中角栄一派の秘書出身の方がついていることが知られていますが、ネットを駆使する一方で昭和風の遊説スタイルに徹したんです。

米重 確かに石丸さんの街宣のスタイルは他陣営と全く違いましたね。小池陣営は一日1回くらいの演説、蓮舫さんは一日2~3回程度を、大きいターミナル駅の前などでやるスタイル。それに対して石丸さんは一日に10回くらいは転戦して、しかも一回の演説が10~15分くらいと短い。

山本 それこそが旧田中派の辻説法スタイルなんです。「戸別訪問3万軒、辻説法5万回」が田中角栄の教え。コンパクトな辻説法をこまめにやる。極めてオーソドックスな遊説スタイルなんです。

米重 前座もなく、いきなり本人がしゃべり始める石丸さんのスタイルも田中角栄方式なんですか。

山本 そうです。

 人通りの少ないマンションの前とかに街宣車を停めて5分程度、候補者本人がしゃべるという作戦も、実はけっこう効果があるんです。通りを歩いている人はいなくても、マンションの中には人がいる。そういう人たちにも「誰か来ているな、こんなところまで来ているんだ」と思わせることが票につながるのです。石丸さんは今回、大きな駅や交差点などでも演説する一方、住宅街でも積極的に街頭演説をしていた。そこには参謀の藤川さんのアドバイスがあったんじゃないかと思います。

街頭演説する石丸伸二氏=7月3日(写真:HIROYUKI OZAWA/アフロ)

 しかも選挙戦最終日の締めくくりに選んだのは東京駅の丸の内駅前広場でしょう。首都決戦の仕上げの場に丸の内を選ぶあたりも昭和的な感覚を感じました。そういう泥臭い昭和的スタイルとネットを使った今風のスタイルが融合した選挙戦だったように思います。