ある意味では強いロシア

 ロシアのレアメタル産業政策は、日本から見ると特攻プロジェクトにしか見えない。

 しかし、見方を変えると、ロシアのある意味での強さが見えてくる。

 確かに、ロシアのレアメタル資源開発政策は、産業的に見ると合理性に乏しく見える。目的が経済的な金属の確保なら間違っている。

 一方で、仮に経済性度外視で金属を自国内で確保するということなら、必ずしも間違っていない。かつての大日本帝国も戦時中は無理な資源開発を強行した。そうせざるを得なかったからだ。

 あまりにショボいので終戦日翌日の8月16日に閉山したニッケル鉱山、学校の生徒を動員して手掘りしたウラン鉱山、礬土頁岩なる怪しげなアルミ鉱石等々、大日本帝国の戦時決戦仕様の鉱山は悲惨だった。ロシアの不良鉱山が宝の山に見えてくる。

 日本では自国で金属資源を賄うなど非現実的な妄想でしかない。経済性を無視しても、産業的に意味のある質や量を達成できなかった例が多い。

 一方、ロシアの不良鉱床は不良鉱床とは言え、近代的な鉱山らしき姿は作れるレベルだ。コストさえ目をつぶれば、産業的に意味を成す質と量の金属を得られる。

 日本には資源がないため、産業で稼げければ飢えてしまう。稼げない産業だけになったら、日本は終わる。なので、ロシアの事例も産業的合理性の有無で見てしまう。

 しかし、これは日本の発想なのかもしれない。

 ロシアでは石油とガスを売って、売却益で弱い産業を養うという考え方も成り立つ。

 レアメタル関連の経済規模は、石油とガスに比べれば小さい。雑な方針でもリソースを投じてやっていれば、まぐれ当たりもあり得る。

 ロシアには石油とガスがある。それですべてを乗り越えられる。日本では絶対にできない贅沢だ。

 ところが、日本でも科学的、技術的合理性に疑問や心配の声が上がる事例が増えていないだろうか?

 日本には石油とガスはないので、ロシアと同じようなノリでやると救いはない。ロシアの産業政策は他山の石として、絶対に真似ることのないようにしなければならない。