ロシアが圧倒的に優良な資源を持つのは、プラチナ、パラジウム、ニッケル、バナジウムくらいだ。

 その他は次のような感じだ。なお、資源があってもレアアースのように、ロシア国内で製錬できない金属もある。

・資源は優良だが目立たない:金
・資源は優良だが足りない:銅、ウラン
・資源があるが、足りないし質も悪い:アルミ、クロム
・資源があるが、著しく足りないし質も悪い:ニオブ、レアアース
・採掘しているが鉱山の経営状況が悪い:タングステン、モリブデン
・完全に海外依存だった:チタン、マンガン、リチウム

 2022年2月24日のウクライナ侵略により、ロシアに対する制裁が強化され、ロシアは海外依存の程度に応じて金属の確保にも困るようになった。

 アルミニウムやチタンのようにロシアが供給大国になっている金属すら、資源が豊富ではなかった。

 アルミニウムでは、原料の6割をアルミナ(酸化アルミニウム)の形態で輸入していた。また、一部ボーキサイト(水酸化アルミニウムを主体とする鉱石)の形態で輸入し、ロシアでアルミナにしている。

 ロシアのボーキサイト鉱床は質が悪く、量も足りない。霞石というが有成分の少ない鉱石も使用しているものの、それでも必要量の約4割しかロシア産の鉱石で賄えない。

 アルミナ供給源の最大勢力がウクライナとオーストラリアだった。

 開戦後、ウクライナのアルミナ工場を接収され、オーストラリアからはアルミナを禁輸された。

 ロシア最大のアルミメーカーであるルサール社は、中国からぼったくり価格でアルミナを買う羽目になった。経営が悪化したと言われている。

 チタンに至っては開戦まで、ロシアにチタン鉱山はなかった。

 開戦前、ロシアはチタン鉱石の100%を海外に依存していた。しかも、最大の依存先はウクライナであった。

 現在、ロシアは必死になって国内のチタン鉱床を開発している。

 一時期、米ボーイング社は4割、欧州のエアバス社は6割の航空機用チタン材をロシアに依存していた。ロシアはチタンの大輸出国であった。

 しかし、この競争力は精錬技術と鍛造技術によるもので、資源によるものではなかった。

ロシア製航空機用チタン材、ボーイング「787」で使用されているもの

筆者撮影(以下同じ)

 EUの制裁対象となったマンガン鉱石も100%輸入だった。また、マンガンでも依存先の最大勢力がウクライナというオチがあった。

 今のところ、ロシアは友好国からレアメタルを何とかかき集めている。しかし、EUのマンガン鉱石禁輸のようなことが重なると厳しくなるかもしれない。ロシアは危機感を持つ。