チグハグなレアメタル戦略

 産業界で苦労してきた人たちは、ロシアのあまりに威勢のいい開発プロジェクトに違和感を覚えるだろう。一度にそんな多種多様なことを、しかも短期間に実現できるなら、誰も苦労しない。

 ロシアは資源から最終製品まですべて自国で賄うべく、同時並行で開発している。しかし、最初から最後まですべて怪しいのが実態だ。

 まず、鉱山開発が怪しい。

 マンガン、リチウム、チタンの採掘がロシアで行われてこなかったのは、優良な鉱床がないからだ。

 レアアースに関しては、レアアース、ニオブ、タンタル、チタンが一緒になったロパライトという鉱物を採掘していた。

 ロシアが必要としている金属が複数含まれる魅力的な鉱物だが、産業的に見ると高コストで量が足りないようだ。鉱山は経営難だった。

ロシア産レアアース鉱石ロパライト

黒い部分がロパライト。レアアース、ニオブ、タンタル、チタンを含む

 現在、ロスアトム社がロパライト鉱山を取得し、鉱山設備の刷新に取り組んでいる。採掘量拡大を目指しているが、経済的に有望だからではない。技術主権政策という国策で進めている。

 開発されている鉱床の多くが、ソ連時代にダメ判定され放置されたものや、ソ連崩壊後に経営破綻した鉱山の復活プロジェクトだ。

 ソ連時代からロシアの地質学者のレベルは高い。ソ連時代にショボいと判断された鉱床は、実際にショボい。大化けする可能性は低い。

 そもそも、金属鉱床は自然の力でできたものだ。戦争が始まったからといって、政治の都合で優良鉱床がいきなり現れたりしない。

 つまるところ、ないものはないので、無理に開発しても非経済的な不良鉱山ができるだけだ。