人質4人救出に対し、ガザ住民274人が死亡

 ネタニヤフ首相はかねてより、人質解放には軍事的圧力が有効だと断じてきた。全ての人質解放に向けたハマスとの停戦合意など、政治的な解決に消極的であった。

 低迷する支持率をにらみ、ハマスとの戦闘を長引かせることで政権の延命工作をしてきたとも取られるネタニヤフ氏の姿勢に、イスラエル市民は業を煮やしてきた。同氏の早期退陣を求めてきた世論に対し、音楽祭での拉致被害者の象徴的存在だったノアさんらの救出劇は、格好のPR材料となる目算だっただろう。

 しかし、今回この4人の解放に至るまでに、ガザでは救出作戦に巻き込まれた多数のパレスチナ人が犠牲になった。パレスチナ当局の発表では9日までに274人が死亡、698人が負傷した。この中には多数の子供や女性が含まれているとし、イスラエル軍による「大虐殺としか表現しようがない」と糾弾した。

 イスラエル軍はこの作戦により、パレスチナ側に100人以下の死者が出たことを認めた上で「そのうちの何人がテロリストかは不明である」として、市民の殺害を否定していない。