「働き損」が出ないようにするには収入をいくら増やせばよいか

 では、もし年収の壁を超えても働き損が出ないようにするには、収入をいくら増やせばよいのでしょうか。各家庭によって異なるものの、社会保障審議会年金部会に厚生労働省が提出した資料には、目安としていわゆる106万の壁についてのシミュレーション(別掲)が紹介されています。


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 このグラフを見ると、年収換算で106万円を超えて社会保険料を支払うことになると崖のように手取りが90万円程度にまでガクンと減少し、106万円相当まで戻すには125万円程度にしなければなりません。

 つまり、働き損を回避するには年収換算で「125万円-106万円=19万円」以上の収入を増やす必要があるということです。12カ月で割ると、月に1万5833円以上になります。

 これだけの収入を増やすのは大変です。考えられる方法としては、大きく2つあります。1つは、短時間勤務でも過去の経験や培ってきたスキルが生かせるような、比較的高時給の仕事に就くことです。

 短時間というと、最低賃金ギリギリなど比較的時給が抑えられがちなパートなどの仕事が思い浮かびます。ただ、いまはITやWEBなどの技術者を含め、マーケティングや広報、法務、人事といったさまざまな職種で、短時間でも経験やスキルが生かせて時給1500円や2000円を超えるような求人も増えてきています。

 私が研究顧問を務める「しゅふJOB総研」が仕事と家庭の両立を希望する主婦・主夫層に行った調査では、時給1500円以上の仕事なら6割、2000円以上ならば9割が扶養枠を外して働くと回答しています。また、いまは少しずつ、時短正社員の求人もバリエーションが広がってきています。