2月16日から確定申告の受付が始まる。年末調整を受けるだけで済む会社員でも税金を取り戻すチャンスがあるのが「医療費控除」の申告だ。そのポイントはどこにあるのか。前回記事「配当株投資の確定申告、2024年はここに注意!納め過ぎた税金を取り戻そう」に続き、今回も確定申告を題材に、関心の高い「医療費控除」について取り上げる。
(森田 聡子:フリーライター・編集者)
医療費控除は確定申告しないと受けられない
東京都在住の40代男性は昨秋、家族4人が新型コロナウイルス感染症に罹患し、2万円以上の治療費を支払った。「遅ればせながらコロナの5類移行を実感した」という。
健康保険組合連合会の推計によると公費負担も含めた国民医療費は2025年度には57.8兆円に達すると見られており、家計に重くのしかかる。支払った医療費の一部が還付される医療費控除の申告は、医療費負担が右肩上がりの今こそ活用したい生活防衛だ。
医療費控除とは、所得税の計算をする際、個々の納税者の事情に配慮して総所得金額から差し引くことができる所得控除の1つ。1年を通して支払った医療費が10万円を超えた人(所得が200万円未満の場合は「所得×5%」を超えた人)が対象となる。ただし、民間の保険会社や健康保険から入院給付金、高額療養費、出産育児一時金などを受け取っていたら、その分は医療費からマイナスする必要がある。
会社員の場合、ほとんどの所得控除(基礎控除や配偶者控除、扶養控除、社会保険料控除、生命保険料控除、地震保険料控除など)は勤務先の年末調整で受けることができるが、医療費控除は確定申告しないと受けられない。
歯科のインプラント、入れ歯、眼科のレーシック手術なども対象
医療費控除を有効活用し、税負担を軽減する上で気を付けたいポイントは2つある。1つは「どの医療費が対象となるか(WHAT)」、もう1つは「誰の医療費が対象となるか(WHO)」だ。
控除の対象となる医療費には、医療機関に支払った診療費や治療費、入院費、入院中の病院食代、通院の交通費、薬局などで購入した医薬品の代金などが含まれる。2023年5月から5類に移行した新型コロナウイルス感染症の治療費や薬代も医療費扱いとなる。
対象はほかにもある。「医療費=保険診療の自己負担の医療費」と誤解している人が多いが、保険外診療で全額自己負担となる先進医療や歯科のインプラント、セラミック義歯、入れ歯、眼科のレーシック手術、オルソケラトロジーなどの費用も医療費として申告できる。