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キーウの独立広場には、戦死した兵士の冥福を祈る写真や国旗が立てられている(筆者撮影)キーウの独立広場には、戦死した兵士の冥福を祈る写真や国旗が立てられている(筆者撮影)

(文:草生亜紀子)

 一緒に活動する男性たちに、当然のように召集令状が届く。子供のころ、自分自身が紛争地で暮らした人もいる。時に過酷な国際人道支援の仕事に就く人たちが胸に抱く思いとは――。人道支援NGO「ピースウィンズ・ジャパン」のウクライナ支援チームの一員として目にする、平穏な日常と戦争の非日常が交錯する暮らしぶりを伝える。

 あるウクライナ人スタッフの言葉が耳を離れない。

「提携団体のコーディネーターに軍のインヴィテーションが届いたので、代わりの人を探してもらわないといけません」

 ウクライナ人、日本人、国際スタッフがオンラインで集まって治安状況や事業の進捗など話し合う定例ミーティングでの発言だった。彼女は英語でそう言った。穏やかな響きのために一瞬、聞き流してしまった。召集令状だと気づくのに数秒かかったかもしれない。確かに、「召されて」いるのだから「インヴィテーション」の英語を当てるのは間違いではないかもしれない。だが、意味しているのは、「一緒に人道支援事業を行なっている提携団体のコーディネーターが従軍することになるので、交代要員を新たに採用してもらう」という剣呑な事実だ。

 長らくメディアで働いた後、1年前に国際人道支援NGOピースウィンズの手伝いを始めた「見習い」の私にとっては衝撃だったが、戦禍のウクライナで2年以上暮らす人々にとっては、知り合いが徴兵されたり戦死したりすることはもはや「日常」の一部となりつつある。

 冒頭のコメントの後も粛々とミーティングは続いた。

「最初の通知が来てから、(実際に入隊する詳細を知らせる)次の通知まで1カ月くらいあるので、その間に代わりの人を見つけないといけません」

「いや、早い時は2週間くらいで2通目がくるよ」

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