英仏は欧州に核抑止力を提供できるか

 しかしウクライナの反攻に期待する声は少ない。死ぬか、復帰できないほどの重傷を負うかの片道切符で前線に送り込まれるウクライナ軍の兵士は疲弊している。軍事的な現実より、領土奪還という政治目標を優先するゼレンスキー氏は兵士たちの信頼を失いつつある。

「私が大統領なら24時間以内にウクライナ戦争を片付ける」と豪語するドナルド・トランプ前米大統領の返り咲きに怯えるのはゼレンスキー氏だけではない。トランプ氏が北大西洋条約機構(NATO)から離脱すれば、欧州は米国の「核の傘」を失うかもしれない。

 ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)によると、米国が保有する核弾頭は5244発。ロシアは5889発。英国225発、フランス290発、中国410発と続く。米国の「核の傘」がなくなった場合、英国とフランスは欧州の同盟国に核抑止力を提供できるのか。現状は甚だ心許ない。

 英国は1月30日に米フロリダ沖で戦略原子力潜水艦HMSヴァンガードから核弾頭搭載可能なトライデントミサイルを発射する実験に失敗した。第1段ブースターが点火せず、ミサイルは発射地点近くの海に落下した。ミサイルが発射できなければ、核抑止は成り立たない。