今世紀最高の映画との呼び声も高い「オッペンハイマー」(映画のプロモーションサイトより)

第96回アカデミー賞で最多7冠を獲得した映画「オッペンハイマー」が3月29日に日本で公開されます。JBpressで掲載した関連記事から、もう一度読みたい記事を選びました。(初出:2023年8月3日)※内容は掲載当時のものです。

識者は「今世紀最高の作品」と絶賛だが

 ハリウッド・ストライキ突入寸前に公開された原爆映画「オッペンハイマー」(監督:クリストファー・ノーラン)が、公開と同時に爆発的な客入りを見せている。

Oppenheimer | Official Trailer

 すわ、米国人もやっと原爆投下に対する罪悪感や核の恐ろしさに気づき始めたかと思いきや、どうもそうではなさそうだ。

 映画を観た知識人の中には、「核の時代に人類はどう生きるかを問いかけた今世紀最高作品」(原作者のカイ・バード氏)と絶賛する者もいる。

 しかし、むろんIMAX上映劇場に殺到した観客の多くは、内容を知ってのことではないだろう。

Oppenheimer Called the Best Film of the Century by Paul Schrader - Variety

 映画業界通によれば、ユニバーサルが満を持して公開した「オッペンハイマー」は、バービー人形の世界を実写化したコメディー映画「バービー」(ワーナーブラザーズ)との抱き合わせ。

 2作品を同日に観られるようチケットを発売する「バーベンハイマー」(Barbenheimer)と呼ばれる鑑賞方法が功を奏した、と見ている。

「オッペンハイマー」と「バービー」を上映する米国の映画館(写真:AP/アフロ)

 もっとも、これに悪乗りしたワーナーブラザーズは7月31日、「バービー」に合成された原爆投下を想起させる画像の投稿に対し、同作品の米公式アカウントで好意的な反応を示した。

 この映像は、原爆投下を想起させる背景に(オッペンハイマー役の)キリアン・マーフィーが右手を上げて喜ぶ(バービー役の)マーゴット・ロビ―を肩に乗せているもの。

 これに公式アカウントで「忘れられない夏になりそう」とハートの絵文字付きで応答。

 これに対し日本での興行に差し障ると懸念した(?)同社日本法人が注意した。

 同社グループは、謝罪表明を出し、「無神経なソーシャルメディアへの関与を遺憾に思う。心から謝罪する」と公式アカウントのこの部分を削除した。

 外部からの批判であれば、今頃は国際問題になっていたかもしれない。

Warner Apologizes to Warner Japan for 'Barbenheimer' Meme Backlash

Barbenheimer Tweets Criticized By Warner Bros Japan; U.S. Company Apologizes – Deadline