日本法人謝罪「バービー」抱き合わせの「オッペンハイマー」がヒットだが…
ヒロシマ・ナガサキから78年、原爆のサスペンス映画が表す米国人のスタンス【JBpressセレクション】
2024.3.26(火)
高濱 賛
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劇場映画、コロナ前取り戻す勢い
週末の米国とカナダの映画チケットの売上高は、史上4度目となる3億ドル(約420億円)に達した。
「バービー」は1億5500万ドル、「オッペンハイマー」は8050万ドル。2019年の「アベンジャーズ/エンドゲーム」公開時の4億ドルにこそ届かなかったが、ハリウッドはコロナ前の状態を取り戻しつつある。
('Barbie' Tops Box Office Again, 'Oppenheimer' in 2nd Place)
ただストは続いており、「一過性の現象」(ハリウッド関係筋)と見る向きもある。
トリニティ・サイトは英詩人の賛美詩から
「オッペンハイマー」は、公開と同時に副次的な現象を起こしている。
原爆第1号を投下実験したニューメキシコ州トリニティ・サイト周辺地域に住む住民の被爆者補償運動が再燃したのだ。
1945年7月16日午前5時29分、アルバカーキーから203キロ離れた実験地「トリニティ・サイト」*1で人類初の原子爆弾が投下された。
*1=トリニティ・サイトのトリニティはキリスト教の三位一体で名付け親はオッペンハイマー。英国教会祭司で詩人のジョン・ダンの賛美詩からとったと示唆している。
高さ30メートルの鉄塔の上に固定されて投下された原爆は、「アントロポセン」(Anthropocene=人新世)の幕開けでもあった。
小惑星の衝突、火山の大噴火などに匹敵する地政学上の変化が地球に刻み込まれた瞬間だった。
人工的放射性物質が地球環境に拡散することで新たな地質世代、つまり「人新世」へと変化してしまった。