知られざるトランプ異変の数々

 聖書販売もそうだが、トランプ氏の周辺で起こった数々の「異変」はあまり騒がれなかった面もなきにしもあらず。

 だが、以下の「異変」は大統領選の行方に複雑な影響を与えそうだ。

一、トランプ氏が不正な不動産取引でニューヨーク州地裁に巨額の支払いを命じられた民事訴訟で、資産差し押さえを阻止するのに必要な保証金4億5400万ドル(約690億円)の支払期限が迫っている。

(トランプ氏は、これだけの巨額なカネは手元不如意としており、資金繰りのめどが立った様子はない)

二、トランプ氏は自前で創設したSNS「トゥルース・ソーシャル」(赤字続き、累計赤字4900万ドル)を「デジタル・ワールド・アクェジション・コープ」(DWAC)と吸収合併、一時的な「棚ぼた利益」3400万ドルを上げた。市場は「ファンダメンタルズは脆弱で過剰価値」と見ている。

三、トランプ氏の政治資金集めが今年に入って鈍化し、1月は1380万ドル、2月は1590万ドル、手元資金は68億ドル。そのうち85%が裁判費用に使われている。

これに対してジョー・バイデン大統領の支持資金は1月、2月と続けて2000万ドルを超え、民主党全国委員会が集めたバイデン再選資金と合わせると、2月は5300万ドル。手元には1億5500万ドルが蓄えられた。

四、政治資金集めが鈍化したことでトランプ氏の今後の選挙キャンペーンは重大な危機に直面している。

 共和党全国委員会は、アリゾナ、ウィスコンシン両州のトランプ再選本部オフィスを閉鎖、ペンシルベニア、ミシガン、ノースカロライナ各州でも選挙スタッフ削減やテレビ広告、トランプ氏の大集会の大幅削減を決定している。

 予備選はあと16州で行われるが、トランプ氏のキャンペーンは大きく縮小される。当然本選挙に向けたモメンタムにも影響を及ぼす。

npr.org/heres-what-happens-if-trump-cant-pay-his-454-million-bond

apnews.com/trump-campaign-fundraising-numbers

thedailypoliticususa.com/as-broke-trump-closes-offices-biden?