米下院はTikTok禁止法案を大差で可決したが、上院ではいつ審議入りできるかも分からない

民主・共和入り乱れた下院反対票の中身

 米下院は3月13日、中国系短編動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)を運営する「ByteDance」(バイトダンス=字節跳動、周受資CEO=最高経営責任者)に対し、約6か月以内に米国企業に売却するよう求める法案を賛成352、反対65の大差で可決した。

congress.gov/bill/118th-congress/house-bill/7521

 同法案は、今期で引退するマイク・ギャラガー下院議員(共和、ウィスコンシン州選出)が提出した「米国民を外国による敵対的アプリから守る法律案」(Protecting Americans from Foreign Adversary Controlled Application Act)だ。

 ジョー・バイデン大統領は、可決・成立すれば直ちに署名すると明言している(再選を目指してか、議会の決定にゲタを預ける姿勢には批判も出ている)。

 上院の事情については後述するが、下院での表決の中身をチェックすると、今米国が置かれている内政外交の立ち位置、特に対中政策や8か月後に迫った大統領選に向けての民主、共和両党の思惑が透けて見える。

 久しぶりに上程された反中国法案だったが、反中、親中といった色分けではなく、保守、リベラルが入り乱れて賛否が分かれた。

 民主党では、ハキーム・ジェフリーズ院内総務(ニューヨーク州選出)、キャサリン・クラーク院内幹事(コネチカット州選出)ら幹部らが反対票を投じた。

 また、過激リベラル派のアレクサンドリア・オカシオ・コルテス議員(ニューヨーク選出)が憲法修正第14条(市民の生命、自由、財産の保障)を理由に同法案に反対した。

 一方、共和党では反中急先鋒のマジョリー・テイラー・グリーン議員(ジョージア州選出)を筆頭にトランプ派ら13人が反対した。

 事実上、共和党大統領候補指名が確定したドナルド・トランプ前大統領が反対を表明したのを受けてのものだった。

 トランプ氏は、2020年大統領当時はTikTokとの取引停止を命じる大統領令を出していたが、今回は下院表決の2日前、同法案に反対すると表明していた。

 その背景には、バイトダンスの大株主であるジェフ・ヤス氏から巨額の政治献金を得ていることや大統領選で若年層票を得ることを狙った「変身」と、米メディアは報じている。

news.yahoo.com/bill-could-ban-tiktok-just

 本来なら、下院を通過した法案は直ちに上院に送付され、上院議員の5分の3の賛成(フィリバスター=議事妨害=を回避するため)で立法化する、という段取りだった。

 バイデン大統領は可決成立すれば署名すると明言しているからすんなり法律になるところだった。

 だが、上院の法案審議手続きを決める民主党のチャック・シューマー院内総務(ニューヨーク州選出)は、3月14日現在、今後の動きについて具体的な方針を一切明らかにしていないのである。

ibtimes.com/tiktok-faces-existential-crisis-divestment-bill-passes-us-house-amid-controversy