スーパーチューズデーでも圧勝したトランプ氏(3月5日フロリダ州の自宅アール・マ・ラーゴで、写真:ロイター/アフロ)

指名に向けて代議員数、大量獲得

 3月5日、米民主、共和両党大統領候補指名に必要な代議員数の3割強を一挙に獲得できる15州の予備選(スーパー・チューズデー)が行われた。

 ジョー・バイデン大統領(81)とドナルド・トランプ前大統領(77)はともに代議員数を大幅に増やし、数字の上では11月の本選挙での一騎打ちが事実上決まった。

 それまでにトランプ氏が刑務所に収監されるか、バイデン氏が高齢を理由に辞めない限り、2人による一騎打ちの再選になる。

          獲得数 S・Tuesday     合計    必要な獲得数
バイデン 206          834      1040        1968
トランプ 273       757    1030        1215
米太平洋標準時間5日午後11時(日本時間6日午後4時)現在
apnews.com/ap-election-2024-delegate-tracker

 トランプ氏の対抗馬、ニッキー・ヘイリー元国連大使はワシントン特別区に次いでバーモント州でもトランプ氏に勝ち、一矢を報いた。だが選挙資金が枯渇すれば、離脱は時間の問題だ。

 バイデン対トランプ、どちらが勝つかを占う各種世論調査の支持率は以下の通りだ。

    トランプ  バイデン
FOX       49%              47%
WSJ       47%              45%
CBS       52%              48%
NYT       48%              44%

 ザ・ヒルが行った「どちらが米民主主義を守ってくれるか」という問いでは、トランプ氏は33%でバイデン氏(34%)と並んでいる。

「トランプ氏は米民主主義の根幹を揺るがしてきた」と終始一貫主張するバイデン氏にとっては、この世論調査結果はショックに違いない。

 しかも、民主党支持者の間にも「バイデン氏は年取りすぎている」と答えるものが73%に上った。

nytimes.com/politics/biden-age-trump-poll

 バイデン氏に冷ややかな保守系ウィールストリート・ジャーナル(WSJ)は社説で「6月、7月まで支持率で好転がなければ、バイデン氏は大統領選から降りるべきだ」と厳しい助言を与えている。

 リベラル派主流のニューヨーク・タイムズ(NYT)もバイデン氏には距離を置き始めた。

 自社の世論調査結果を基に民主党がバイデン氏に代わる候補を立てるよう主張している。

 主流メディアから選挙戦離脱を促されたバイデン陣営は複雑な思いだ。

realclearpolling.com/latest-polls

 そうした空気が流れるなか、これまで前面には出てこなかったファースト・レディ、ジル夫人が3月初旬からジョージア、ウィスコンシン、コロラド、バージニアといった「スウィング・ステート」を遊説している。

 州都近郊の女性票、非白人無党派層狙いだ。

 先々で「トランプは女性の敵」「米民主義をぶち壊す張本人」と激しい口調でトランプ批判を続けている。

「糟糠の妻」であり、短大で英語を教える博士がトランプ攻撃すること自体、陣営内の危機感を表している。

cnn.com/politics/jill-biden-2024-campaign