国交省がタクシー不足台数を公表し配分

 道路運送法は「自家用自動車は有償で運送の用に供してはならない」(第78条)と定めており、人を有償で運ぶ場合は、①運転手が二種免許を持っていること、②使用車両は営業車両(緑ナンバー)に限るとされてきました。

 人の命を預かる職務ですから、一定の訓練や教育を受けた者にしか人を乗せての営業運行は認めていないのです。いわゆる「白ナンバー」を使って有償で人を運ぶ「白タク」は違法行為だったわけです。

 ただし、この条文には例外規定があり、第3項では「公共の福祉を確保するためやむを得ない場合」には地域や期間を限定して自家用車の利用を許可するとしています。今回のライドシェアにはこの「公共の福祉を確保する」という例外規定を当てはめ、実施されることになりました。

 4月に始まるライドシェアの営業区域は「東京」「神奈川」「愛知」「京都」の4地区です。国土交通省は3月中旬、この先行4地区について曜日や時間帯ごとに不足するタクシーの車両数を公表しました。

図:国土交通省の公表資料をもとにフロントラインプレス作成
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 このデータはタクシー配車アプリのビッグデータを利用して算出したもの。「不足車両」とは、配車アプリで90%のマッチング率を達成するためにあと何台が必要かを示したものです。当面はライドシェア事業に乗り出すタクシー会社に対し、この不足車両分の50%が配分されます。

図:国土交通省の公表資料をもとにフロントラインプレス作成拡大画像表示

 さらに国土交通省は3月29日、先行4区域に続くエリアとして「札幌市など」「仙台市」「さいたま市など」「千葉市など」「大阪市域」「神戸市域」「広島市など」「福岡市など」の8区域を公表しました。これらの地域は4月中に曜日・時間帯ごとの不足車両数が公表され、5月からタクシー会社によるライドシェアが実施可能になります。

 このうち、万博を来年に控えた大阪府と大阪市はこの3月中旬、「府内全域・24時間」の実施を政府に求めました。万博開催時には1日当り2000台前後のタクシーが不足するとされており、区域や時間帯を限定した運用では必要台数を確保できないと判断したからです。