安全性、犯罪の懸念払拭が課題に

 ライドシェアの将来はどうなるのでしょうか。

 Uber Japanが内閣府の規制改革推進会議に提出した昨年のレポートによると、2017年に360億ドル(約5.5兆円)規模だったライドシェアの世界市場は2030年までに2850億ドル(約43兆円)に拡大すると見込まれています。この数字は世界のタクシー市場の約3倍という膨大なものです。

 日本でも市場拡大への期待が高まりつつありますが、課題も残されています。焦点は安全性でしょう。

 二種免許を持っていない一般ドライバーの運転技術に対し、プロドライバーと同等の信頼感が生まれるのかどうか。いくらナビが発達したといっても、地理や道路状況に関する知識への不安も残りそうです。

 犯罪に巻き込まれるのではないか、事故が起きたらどうなるのかという利用者の危惧も簡単には払拭できないかもしれません。

 ライドシェア事業がさらに拡大すれば、運営主体がタクシー会社以外に広がる可能性もあります。公共交通を担った経験のない事業者が配車のマッチングに乗り出した場合、公共交通としての責任をどこまで果たせるのか、という問題も生じそうです。

 期待と課題を抱えたまま、日本版ライドシェアはスタートします。

フロントラインプレス
「誰も知らない世界を 誰もが知る世界に」を掲げる取材記者グループ(代表=高田昌幸・東京都市大学メディア情報学部教授)。2019年に合同会社を設立し、正式に発足。調査報道や手触り感のあるルポを軸に、新しいかたちでニュースを世に送り出す。取材記者や写真家、研究者ら約30人が参加。調査報道については主に「スローニュース」で、ルポや深掘り記事は主に「Yahoo!ニュース オリジナル特集」で発表。その他、東洋経済オンラインなど国内主要メディアでも記事を発表している。