- ライドシェアの解禁に向けて、東京タクシー・ハイヤー協会は1月10日、今年4月から自ら参入すると発表した。
- 普通免許のドライバーが自家用車に客を乗せるライドシェアは、既存のタクシー業界と競合するなどとして賛否両論がある。だが、同協会の川鍋一朗会長(日本交通取締役)は「いまこそ、東京が全国を牽引するべきだ」との考えを示した。
- 6月までに、タクシー業界以外からの新規参入を認めるか議論を進めることになっており、先回りしてサービスを始める格好だ。大阪など東京以外のタクシー業界がどう対応するかも注目される。(JBpress)
(桃田健史:ジャーナリスト)
ライドシェア解禁に向けて、「東京発」の大きな動きがあった。一般社団法人の東京タクシー・ハイヤー協会は1月10日、「日本型ライドシェア」の運行を今年4月から開始すると発表した。
一般的にライドシェアとは、普通免許を持つドライバーが自家用車をタクシーのように使い有償で旅客を運送する行為を指す。
ライドシェアの国内導入については政府・産業界で賛否両論がある。昨年11〜12月にかけて、国の規制改革推進会議の地域産業活性化ワーキング・グループにおいて議論され、12月20日および26日に「規制改革推進に関する中間答申」が出された。その中で、今年4月をめどにライドシェアを一部解禁する内容が開示されていた。
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今回明らかになった「日本型ライドシェア」は、この中間答申の内容に基本的に沿ったかたちで考案されたビジネスモデルだ。すでに公共交通が極めて不便な「交通空白地」や「福祉」目的で運用されている「自家用有償旅客運送」の制度改善を踏まえて、その枠組みを活用する。ただし、「日本型」といっても、現時点では「東京発」で全国に向けて提案しているだけで、全国一律で展開されることが確定しているわけではない。
記者会見に登壇したのは、東京タクシー・ハイヤー協会の川鍋一朗会長(日本交通取締役)。川鍋氏はこれまで、全国タクシー・ハイヤー連合会会長の立場で規制改革推進会議・地域産業活性化ワーキング・グループの議論に参加していたが、今回はあくまでも東京タクシー・ハイヤー協会会長としての発言にとどめた。
今回の発表によると、事業主体はタクシー会社で、使用する車両は白ナンバーの自家用車のみ。ドライバーは20歳以上70歳未満で、普通免許または二種免許の保持者。普通免許の場合、取得から1年以上経過していることが条件となる。
タクシー会社はドライバーとパートなどの雇用契約を結ぶ。車両の定員は5人以上10人以下とし、衝突被害軽減ブレーキなどの先進安全運転支援システムやドライブレコーダーの装着を必須とした。運行地域は現時点で、東京23区と武蔵野市・三鷹市のみで多摩地区は含まない。
運行方法は、タクシーが不足する地域・時期・時間帯のみの運行とする。今後、国土交通省が客観的データに基づき、こうした内容を定めるものと考えられるが、例えば武蔵野市や三鷹市では平日7〜11時や、金曜夜間24〜28時といった時間帯が想定されるとした。
会見に参加した筆者は、発表内容に対していくつかの疑問を持った。