当局を批判すれば逮捕される

 ウクライナ戦争以降、ロシア国内ではメディアへの弾圧がさらに強まっています。

 ロシア当局を批判する者は、「フェイクニュースを流した罪」で訴追されます。好ましくないメディアは、「外国の代理人」に指定されて活動を規制され、時には廃刊を命じられます。ノーヴァヤ・ガゼータ紙もその後、事実上の活動停止に追い込まれました。

ロシアのウクライナ侵攻後、ロシアの国営テレビのニュース番組に女性職員が乱入し反戦訴えた。女性は禁錮8年半の判決を受け、のちに欧州に亡命した(提供:Alamy/アフロ)

 また、ロシアの国営テレビでは、生放送中に女性職員が突然、「戦争反対」「プロパガンダを信じないで」というボードを掲げて画面に登場する出来事も起きました。この女性は虚偽の情報を拡散した罪で禁錮8年半の判決を受け、のちに欧州へ亡命しました。

 それでも「政権を批判する自由」を求める声はやんでいません。ロシアを追われたメディア人が近隣国でロシア国内向けメディアを立ち上げるケースも続いています。

 毎回多数の市民が拘束されますが、ウクライナ戦争反対を訴える抗議活動も続いています。自由を求める声を根絶やしにできないことは、過去の歴史が十二分に証明しているのです。

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フロントラインプレス
「誰も知らない世界を 誰もが知る世界に」を掲げる取材記者グループ(代表=高田昌幸・東京都市大学メディア情報学部教授)。2019年に合同会社を設立し、正式に発足。調査報道や手触り感のあるルポを軸に、新しいかたちでニュースを世に送り出す。取材記者や写真家、研究者ら約30人が参加。調査報道については主に「スローニュース」で、ルポや深掘り記事は主に「Yahoo!ニュース オリジナル特集」で発表。その他、東洋経済オンラインなど国内主要メディアでも記事を発表している。